震災支援タイトル

一般社団法人 東京都医療社会事業協会   No.34  2015.7.24

災害支援ニュース
つたえる
心をつたえる…様子をつたえる…事実をつたえる…手立てをつたえる…気持ちを伝える

[2015年6月の報道から]

復興庁は28日、東日本大震災のため各地に避難している人は、16日時点で21万9618人だったと発表した。3月12日時点の前回調査から5559人減少した。 20万495人が仮設住宅や公営住宅、民間の賃貸住宅に居住。1万8640人は親族、知人宅に滞在し483人が病院に入院するなどしている。 避難先は全都道府県の1155市区町村。居住地を離れて別の都道府県に避難している人は、福島が4万6170人、宮城が7055人、岩手が1557人だった。

東京電力福島第1原発事故による県内外への自主避難者について、福島県は15日、災害救助法に基づく避難先の住宅の無償提供を平成29年3月で打ち切ると発表した。28年3月までとしていた期限を1年延長した上で、その後は避難者の所得などに応じて、家賃を補助するなど県独自の支援に移行する。 県は支援策として、県内に帰還を希望する避難者には引っ越し費用を補助するほか、打ち切り後も避難先にとどまる場合、低所得世帯に対しては一定期間、家賃を補助するとした。7月以降、避難先で帰還や生活再建に関する相談会も実施する。 県によると、避難指示区域外からの自主避難者は推計で約2万5千人で、このうち約2万人が県外へ避難している。自治体が民間アパートや公営住宅を借り上げる「みなし仮設」はこれまで無償で提供されており、避難者からは継続を求める声が上がっていた。


[1]放射線と健康被害について学ぶ学習会

講師:平野 敏夫 先生(ひらの亀戸ひまわり診療所 理事長)
日時:2015年9月4日(金)19時~21時
会場:ひらの亀戸ひまわり診療所 Zビル4階会議室
江東区亀戸7-10-1
(JR亀戸駅東口 徒歩15分、東武亀戸線 亀戸水神駅 徒歩10分)
参加費無料  ※定員:60名

※参加申し込みに関して、当日受付による参加も可能ですが、資料の準備や定員の都合上、事前に都協会事務局宛にご連絡頂ければ幸いです。

 今、「自主避難」している方たちが心配されている「放射線の問題」は、無くなったと明言出来る状態なのでしょうか?

 多くが子育て中の家族で、生活のために父親は福島に、母子は県外にというケースも少なくないと聞きます。「内部被曝」の問題は、政府からははっきりした見解は出されていないにもかかわらず、福島に帰らざるを得ない状況に追い込まれていこうとしている方々の胸中はいかばかりかと思われます。

 私たちは日本の歴史の中で、原子力による被害が長く世代を超えて、健康といのちに影響を与えた悲しみを経験しました。その歴史を、失った命に学ぶことなく、簡単に「終息宣言」をしていいのでしょうか?福島の方たちの事を忘れていいのでしょうか?

 私たちの先輩MSWは、全国でも、また広島や長崎では長い時間や労力を費やし、被曝された方々の人生を追い、聞き取りをし、健康への影響を明らかにし、発病や悪化に抗して命を守る活動をして来ました。内部被曝が、5年後、10年後、数十年後に被災者の体に、大きな病をもたらしたことを、聞き取り、戦慄し、身をもって実感し、後世に伝える仕事をして来ました。

 また科学者は、多くの健康に影響を与えた環境問題に端を発し「予防原則」という考え方で、被害を未然に防ぐ措置が必要であることを決め、もしかしたらおこりうる事柄に向き合うべき姿勢を世界的な合意としました。

 今、私たちMSWは、東日本大震災の被災者支援を様々な場所や形で、続けて来ていますが、安心して生活する場所を追われるという局面に立たされた方々の問題を、日本中の原発・処理施設・保管施設の影響が考えられる地域の、また当然その範囲にある都民の生活にも関わる問題としても看過することは出来ないと思います。

 原発問題については、様々な見解が出されており、また理解するにも難しい問題でもありますが、だからと言って避けていてはいけない問題であることも明らかになっています。「命」と「暮らし」「経済」の問題として、学び、必要な行動を考える時であると思います。
 少なくとも、その被害について関連する患者さんが、いつ面接にいらしても、アセスメントの出来るMSWとして、知っているべき問題でしょう。そして、私たちの子どもや、将来に関わる決断を求められているのも、今でしょう。
 皆様のご自身の問題としての参加をお待ちしています。

〖寄稿〗

こころの中の「福島」

武山ゆかり(豊島区医師会 東京都医療社会事業協会前会長)

 東日本大震災の前年、仕事で何回か福島へ通った。小児がんで子どもを亡くされたお母さんや闘病を続ける子どもの親、治療に関わる医療者との会合や活動の支援に心を通わせた方々と行き来し、隣の宮城県の親の会の方達も集まりに来てくれたりしていた。だが、震災の直前、私は退職して関係が切れており、その後の原発事故後は、直接かかわることなく心の中に痛みの種を抱えたまま今日に至っている。
 震災の年の7月と8月、大型バスを観光会社の協力を得て借りきり、日帰りで作業支援のボランティアを企画、いわき市の沿岸に入った。作業直前にも余震があり、高台待機という場面もあった。今原発が再び事故を起こしたら!?と正直怖かった。東は避難区域に近い、四倉までは行った。その後は、宮城や岩手への途中、桃の花や、黄金の麦秋、緑の田を新幹線の窓から眺め通り過ぎた。

 都協会がシリーズで行なっている「災害支援講演会」で、一昨年度は福島及び震災をめぐるテーマでがんばって3回開催した。原発問題と医療機関のその時を掘り下げた「プロメテウスの罠」取材朝日新聞記者 岩崎賢一氏。生業を放棄して生きることに行き詰る方への支援を考えねばと「遺された家族への支援を通して」語って下さったNPO自殺対策支援センター「ライフリンク」清水康之氏。そのうち、多くの大切な命や生活を失った方へ悲しいと言ってよいと説く僧侶「悲しむ力 悲しみに正面から向き合う~ソーシャルワーカーのできる支援」の演者 中下大輔氏の紹介で福島県南相馬郡に一泊研修を行った。
 宿泊先は南相馬郡原町という沿岸部に近い小高い山にある民宿「いちばん星」の経営者は、先年まで市の職員として被災者支援業務に関わっていらした。異動で震災に関わりのない部署にと言われ、まだやることがある、と承服できず退職し、自宅を民宿にして、支援者や見学者を受容れ案内し、原発被害問題に向き合っておられる。乗車可能人数で打ち切っ た12名の都協会員で、津波被災地区、立ち入り禁止区域ぎりぎりの双葉町、仮設住宅等と日中のみ立ち入れる小高地区、星さんの案内で、説明とその後の生活の話など聞きながら廻った。夜は地域の方が強く復興を願った『相馬野馬追』の勇壮な甲冑の前で、原発に一番近い病院、南相馬市立病院に事故後赴任された医師から、悲喜こもごものお話を伺った。 翌日は仮設住宅住民との交流後、福島で福島県協会理事らと合流、貴重な経験と、抱える問題、これからの支援について話し合った。津波、原発メルトダウンの被害で、浜通り地域からの避難者が収容された病院でおむつが不足し急遽東京からMSWあて送った機関や、集団で患者を引き受けた都内の病院もある。その避難患者はその後どうしたか?今後、どのような患者が増えるのか、MSWに何が出来るか、お互いの思いが通い合い、これからの力となる交流会となった。

 東京で出来る福島の支援は…? 2015年7月現在、都内避難者は、6005人。公営住宅や親族宅で多くの方が、故郷と東京での生活の間で揺れながら今を過ごしている。先日も国道6号線開通報道の一方、線量計の数値と内部被ばくの数値の違いが明らかになり不安を増大させた。発災直後、都内避難者の健康・生活相談をMSWがいつでもお受けします、という掲示を、会員のいる病院で院内に貼り出せるよう理事総出で手作業でパウチし配布した。また、先日行なった都内での電話相談『医療と福祉の110番』では、被災者のご相談もお受けしますと新聞・ラジオ・テレビ・新聞折り込みなどで広報した。

 今年の1月には、住民の多い都心区への事務所移転を契機に、同じフロアに入る東京社会福祉士会との共催で、地域の後援を得ての講演会を行った。講師には福島県職員避難者支援課豊田吉彦氏に経過と現状を、また関東へ避難し浪江町への帰郷を待つ住民の思いと備えへの提言をお聞きした。先もわからずわが家を後にした方々の不安と悔しさ、美しく愛おしい故郷への思いが胸に迫り、原発事故が許せなかった。これからまだ続く「被災者」としての生活をいつ終結させることが出来るのか、原爆訴訟が今も続くように、私たちに出来るのは何か、自らに問うた。安穏に他人事にして暮らせないと強く思った。
 この講演会も含め、MSWの集う機会には必ず南相馬市の仮設に暮らす母さんたちが編んだ「アクリルたわし」を持参する。色とりどり、かたち色々のカワイイたわしは、製作者者名と仮設住所、支援して下さる方へのメッセージが書かれたカードが添えられている。売り上げは、そのまま、まとめて送る。「買う支援ならできる!」と、応じてくれる医師や看護師、医療スタッフや講演会参加者、市民も多い。せめて思いを届ける役を私たちSWも担う。
 こんな事しか出来ないけれど、たくさんの思いを込めて福島のこれからをあなたにも見つめ、力を貸して欲しい。あなたの住む、働く近くに「一時避難」してきている方もいる。 あなたの働く病院や施設に通ってきている方もいるかもしれない。どうぞ「いつでもご相談においでください。」の案内表示を忘れず出して置いて下さい。あなたの意見や経験を行政に、国に届けて下さい。次の福島支援訪問にはぜひご一緒しましょう!
 山も、海も、空も美しく、美味しいものも沢山あるところです

[2]復興庁が「被災者生活支援等施策の推進に関する基本方針の改定(案)」に対するパブリックコメントを募集しています

 復興庁では被災者生活支援等施策及び「子ども・被災者支援法」の基本方針の改定の動きを示しています。おそらくは、前号でもお伝えしました、自主避難されている方々に対する、年度の住宅支援の終了に関連するものと思われます。
 改定案として、「支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当であると考えられる」(被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針<改定案>3頁)、「支援対象地域は、線量が発災時と比べ大幅に低減し、避難する状況にない」(子ども被災者支援法 基本方針改定案<概要>1ページ)などが明記される予定とのことです。
 改定に先がけ、復興庁ではパブリックコメントを募集しています。募集締め切りは8月8日(土)17時です。

改定案の詳細や意見の提出方法に関しては、以下の復興庁のホームページをご確認ください。 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295150710&Mode=0

[3]教育部からのお知らせ

夜間講座 「地域包括ケアシステムの基本的概念とその実践」
講師:長 純一先生(石巻市立病院開成仮診療所所長)
日時:2015年9月10日(木)19:00~20:45
会場:東京ウィメンズプラザ(表参道駅B2出口 徒歩7分)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67
対象:東京都医療社会事業協会会員および関係者
参加費:会員 無料  非会員 500円

〇会場の定員は100名です。消防上、当日、先着順で締切となりますので予めご了承ください。

 教育部主催による今年度の夜間講座は、「地域包括ケアシステムについて考える」という視点で計3回の講座を開催致します。
 第1回目として、宮城県石巻市の石巻市立病院開成仮診療所の所長として邁進されている長 純一先生より、現場の目から見た地域包括ケアシステムと、その現状や実践についてお話しを頂くこととなりました。
 万障お繰り合わせの上、ご出席下さい。

[4]震災支援対策委員会開催のお知らせ

 当協会では震災以降、震災支援対策委員会を発足し、現在も理事を中心に定期的に会議を開催しております。  
 会議において、活動内容を検討し、実行に向けての準備を図っております。  
 一般会員の方々の参加も歓迎致します。一度顔を出し、意見交換してみてはいかがでしょうか。 次回は7月30日(木)19時~ 都協会事務局にて開催致します。定時に遅れての参加も結構です。参加ご希望の方は、事前に都協会事務局か、牧田総合病院MSW加藤宛にご連絡ください。

[5]他団体の活動のお知らせ

主催:公益社団法人日本下水道協会  企画・運営:NPO法人日本トイレ研究所

「下水道展’15東京」併催企画
「災害時のトイレ・下水道フォーラム
~女性の人には言えない、聞けない、被災生活のトイレとプライバシー」

日時:2015年7月31日(金)12:00~16:00
場所:東京ビッグサイト 会議棟・レセプションホールA
定員:200名(先着順)
入場無料、事前申し込み制です

 当日は、井上きみどり氏(漫画家)による基調講演や、パネルディスカッション、災害用トイレ体験コーナーなどが催されます。  
 申し込み方法など、詳細はホームページをご参照ください。

 井上きみどり氏は、仙台在住の漫画家で、震災以降はご自身の経験と取材をまとめた「わたしたちの震災物語」(刊)を2011年11月に出版。そして福島県の取材を現在も続け、「ふくしまノート」(竹書房刊)のタイトルで現在第2巻まで発売されております。

[6]別冊「つたえる」第2号原稿募集のお知らせ  

 以前にもお伝えしましたが、今年度発行を目指し、2013年4月~2015年3月までの活動をまとめた別冊「つたえる 東日本大震災支援 活動報告」第2号の作成に取りかかっています。
 引き続き、会員の皆様からの原稿を募集しております。
 内容に関して、実際に活動に参加した際の感想や、震災に関する様々な思い、また、特に都協会の活動以外の内容でも結構です。  
 原稿を執筆して頂ける方は、都協会事務局、もしくは牧田総合病院 加藤やその他理事にお声を書けて頂ければ幸いです。

 「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての意見や想い、伝えたいことなど、是非お寄せして頂ければ幸いです。字数など、特に細かい制限はございません。
 掲載希望の方は、都協会事務局にご連絡の程、よろしくお願い致します。

 過去のバックナンバーは当協会のホームページにて閲覧可能です。
 http://www.tokyo-msw.com/top_links/shinsai/tsutaeru/saigai_news.htm

発行 一般社団法人 東京都医療社会事業協会 震災支援対策委員会
〒170-0005 
東京都豊島区南大塚3-43-11 福祉財団ビル5F
電話・FAX : 03-5944-8912

Mail:ttn82yj27c@mx10.ttcn.ne.jp

福島県南相馬市鹿島区の仮設住宅の住民の方々が作成された「ふくろう人形」(2014年2月)