震災支援タイトル

一般社団法人 東京都医療社会事業協会   No.35  2015.10.26

災害支援ニュース
つたえる
心をつたえる…様子をつたえる…事実をつたえる…手立てをつたえる…気持ちを伝える

台風18号による大雨災害について

9月に発生した台風18号により、関東・東北地方において多大な被害が発生しました。 被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
茨城県常総市において、鬼怒川の決壊などにより広範囲な被害が生じております。茨城県のMSW協会である「茨城県ソーシャルワーカー協会」では、9月10日16時29分に協会内に災害対策本部が設置され、JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)の一員としてDMAT,JMATの活動に参加されています。
 現在、避難所の保健室に事務所を構え、1日2名体制でMSWが常駐し、支援活動を継続されています。

当協会のホームページ内コーナーの「あきらの部屋」において、田上会長のコメントにあるように、発災直後、全国のMSW協会の会長会のメーリングリストを通じて茨城県協会より連絡を取り合っております。
現在、茨城県協会の会員で支援活動を実施しており、今後他県のMSW協会の応援が必要になった際、連絡が入ることになっております。 活動が長期化してゆくにつれ、茨城県のMSWの方々の精神的・肉体的負担が増大してゆくことが懸念されます。
当協会としても、今後の状況や要請に応じて協力してゆきます。 その際には会員の方々に呼びかけさせて頂きます。何卒よろしくお願い致します。

                                         

〇茨城県ソーシャルワーカー協会のフェイスブックには、活動の状況が更新されています。
https://www.facebook.com/茨城県ソーシャルワーカー協会-603902429642185/timeline/

〇日本医療社会福祉協会では、台風18号大雨被害の義援金を募集しています。
※募集期間は10月31日(土)までです。 http://www.jaswhs.or.jp/guide/info_detail.php?@DB_ID@=296

〇個人でボランティアを考えている方へ、常総市災害ボランティアセンターのホームページのURLも記載しておきます。
http://joso.vc/

○東京ボランティア・市民活動センターのホームページにも様々な情報が集約されています。
http://www.tvac.or.jp/news/36073

[1]「放射線と健康被害について学ぶ学習会」を開催しました

講師:平野 敏夫 先生(ひらの亀戸ひまわり診療所 理事長)
日時:2015年9月4日(金)19時~21時
会場:ひらの亀戸ひまわり診療所 Zビル4階会議室

 

加藤 淳(牧田総合病院) 去る9月4日(金)にひらの亀戸ひまわり診療所の平野 敏夫先生を講師としてお招きし、「放射線と健康被害について学ぶ学習会」を開催しました。当日は12名の会員の方々が参加され、参加者全員でディスカッションを行うなど貴重な学習会となりました。
 放射能とその健康被害や安全性に関して、国内外で様々な意見が飛び交う中、医療ソーシャルワーカーとしての視点から知っておかなければならないことを学び、検討してゆくことを目的として、今回の勉強会を企画しました。
 平野先生のお話は、放射能や放射線の基本的知識から、外部被ばくと内部被ばくの 違いから健康被害の内容まで多岐に渡りました。

 その講義の中で、原発労働者の被爆の問題についても取り上げられました。原発労働者の健康被害の実態は明らかでなく、労災認定されている氷山の一角であるとのことです。過去数十年の、原発被爆労働者の労災認定状況のデータによると、白血病は労災補償に結びつくことが比較的多いですが、癌や悪性リンパ腫などは、その殆どが労災補償を認められないという結果に陥っています。疾患と被爆労働との因果関係が、医学的・科学的に認められていないことが要因となっています。
 今後も悪性腫瘍などの疾病にかかりながらも、労働状況との因果関係が認められず、補償を受けることが出来ない方々が多く出現することが予想されます。その現状に対し、自分達はどのようなアプローチを国に対して働きかけてゆかなければならないか、参加者の中で議論となりました。先生からは「数の集計」をしてゆき、データを突き付けてゆくしかないのではと指摘されました。  例えば、発症された患者の過去の労働環境を聞きとることによって、該当される方々のデータを皆で集めてゆくしかないと考えられます。それこそ医療ソーシャルワーカーの力が必要とされるのではないでしょうか。

 見落とされがちですが、疾病の要因の中に、現在もしくは過去に就いた仕事内容が大きな要因となります。その場合、労災などの補償に結び付けてゆかなければなりません。
 業務上の事故、となると患者本人や雇用者も労災であると判断しやすいのですが、病気となると患者自身は気づかない場合があります。特に、要因となった仕事を辞めて以降、だいぶ年月が経った後での発症だと、労災に気づかない場合が殆どかと思われます。
 例えば、業務中にアスベスト被害を負ってしまった方々は、何十年も経ってからアスベストが原因で中皮腫や肺炎などを発症する恐れがあります。その場合、例え時間が経っても、様々な補償の対象になります。しかし、前述の通り、当事者は気づかない場合が殆どなので、医療者側で指摘し、補償に結び付けてゆく支援が必要となります。
 問題は、労働状況と、それが要因となる疾病の因果関係が認められないことです。 アスベスト問題に関しても、様々な当事者や支援者のそれこそ血の滲むような努力で、後々になって補償に結びついています。

 個人的な話で大変恐縮ですが、私の家族のことについて触れさせて頂きたいと思います。  その昔「原子力船むつ」という原子力によって船を動かすという国のプロジェクトが1969年に始まりました。結果的には原子力船としては最初で最後(現時点では)となりましたが。当時、私の父は乗組員としてプロジェクトに参加し、船の原子炉部門に関わっていました。
 「むつ」は1974年に放射線漏れ事故を起こし、当然ながら父を含む乗組員も被爆しております。私の父は結果的に、11年後に40代半ばで癌で亡くなっておりますが、その際医療機関からは「放射線漏れ事故との因果関係は無し」と判断されております。 今、その当時のことをとやかく掘り下げるつもりはないですし、言葉に表すことに多少とも抵抗はあります。しかし、今回の勉強会に参加したことによって、改めて考えることもあり、今回初めて記させて頂きました。

 放射能の問題は、安全・危険の二極論に陥りがちです。私達はどちらかに偏ることもなく、「正しく恐れる」ことを前提に今後も学び続けなければなりません。
 今後も学んでゆく機会を設け、医療ソーシャルワーカーの視点のから支援に結びつけることが出来るよう、努め続けてゆきたいと考えています。

※丁度この記事を書いている最中に入った情報です。
 10月20日、東京電力福島第1原発の事故対応に従事した後、白血病を発症した元作業員の方が、「被爆と疾病の因果関係が否定できない」として初めて労災と認定されました。

報告                                                      武山ゆかり(豊島区医師会)

 8月には暑すぎる毎日、9月は毎日が傘マークと、辛い日が多い今年の東京です。 川内原発の再稼働、安保法制のきな臭い提案、オリンピックがらみの負の支払いと、被災された方には、一層腹だたしいニュースが続きました。どこかで、秋晴れの空に転換させたい昨今です。
 9月4日(金)19:00~21:00 労災講座や外国人医療問題、中堅者研修などの会場でもある江東区亀戸の「ひらの亀戸ひまわり診療所」会議室にて学習会が開かれました。 「放射線と健康被害について」と題した平野敏夫医師のお話は、福島県および原発事故の影響の予想される地域に関係する患者さんに対して、医療ソーシャルワーカーの業務の中でおさえるべき視点や、労働災害としての放射線被ばくによる疾病など、基本的な知識や具体的な数値におよぶ、わかり易い内容でした。
 しかし、アスベストの被ばくとは違い、目に見えない放射線による被害は、内部被曝と発がん性など、核医学の専門家にもまだ「わからない」と言われる部分もあり、今後に現れてきた現象からその影響が明らかになるかも知れないという、次の世代にもわたる被害もありうることも話されました。
 参加者には、当協会会員で、昨年の福島ツアーにも参加された東友会原爆被爆者相談所MSWの的早克真さんや、親族が被曝された後、癌を発症された方もおられ、かつて広島・長崎の原爆投下後の晩成障害の立証など、困難な中でMSWの調査や支援が大きな支えになった経験に話がおよびました。福島での原発事故も、その後の生活記録や行動の範囲など、正確に記録しておくこと、聴き取って記録しておくことの大切さが共有されました。被災地に親族が居る会員も、事故後ホットスポットとなった地域の親族が心配と言う方も参加されており、原発事故の被害の広範囲にわたること、多くの住民の不安につながっていることが再認識されました。

 今回の福島原発事故後の不安は、マスコミでは一時、主にその「数値」に話題が集中しました。しかし、体に影響する低線量被ばくの目安や確率的影響は知らされているものの低線量の被ばくの安全量の「閾値」(しきいち)は無いことが国際的な合意になっており「もう安全だから帰還」とする空間線量の値のみでの判断は安全の保障とは考えられず、発がんのリスクは依然存在すること、また事故直後の放射性物質の放出は、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉、新潟、岩手に及び、東京都葛飾区浄水場にも至り、土壌や水が汚染されたことは、決して記憶から消してはいけないことを学びました。
 また、いまだ放出が報道される海水放出汚染や土壌への横溢浸込み汚染水は、何十年もかけて海底などで残存し続けることが、1950年に起きたビキニ環礁での水爆実験によるセシウム137やコバルト60の検出により知られています。

 科学者間の安全論争からも、私たちは何が信ずるに値することなのか、がわかりにくく、どのような視点や知識を持つべきなのか、わからなくなっていることから、この学習会に先立ち、ちょっと古い文献を引っ張り出してみました。
 かつて私が勤めていた(大塚の)「癌研究会附属病院」で亡くなられた高木仁三郎さんという原子核の研究者であり、多くの市民活動家を育てた方の書いた『市民科学者として生きる』(岩波新書631)という本です。氏の主治医だった医師に贈られた本で癌研の病床で書かれました。どのような立場で科学するか、その究明された事を何のために使うか、誰のために使うか、それを誰に学んだかが、書かれていました。なんと、15年前に読んだ時には、記憶にとどめていなかった、福島県浪江町の原発誘致反対を訴え、長くたたかっていた枡倉さんとの対談の写真が載っていました。まさに「危険」が言われていながら、強引に進められてきた「原発」による地域の破壊に警鐘が鳴らされていました。そして、チェルノブイリ事故では、事実の公表が遅れたための汚染で低線量被曝による子どもたちの甲状腺がんの多発となりました。同じ過ちが繰り返されたことが悔やまれます。…だから、原発稼働は大きな危険と隣り合わせなのだ、その危険を、日本列島が、火山噴火やトラフの不安定な時期に、敢えて冒す意味はどこにあるのか、これは今まさに、私たちに突き付けられた課題と決断でした。

 「子ども・被災者生活支援法」は、都協会で学習会を開催した2年前の当時に期待した、どのような場合にもこれからの健康と生活の場の保障をうたった内容は、住居や生活への支援を打ち切り、強制的に安全の保障の無い「帰還」を選択させる内容へと、骨抜きにされようとしています。それは、「原発の危険」を忘れさせ、今在る国内54基の廃炉と、原発に依存した地域経済の変換に目をつぶる政策への承認を意味します。

 被害に対し、MSWとして、何を知っていなければならないか、という学習会でしたが、私の中では、学ぶうちに大きく膨らみ、まさに「専門家としてどう生きるか?」という課題に発展しました。考えると、災害復興の道筋も、沖縄をはじめ基地問題も、戦争への加担の問題も、今どれもが同じ根っこへの決断を迫られているように思います。MSWとしても、学ぶことの意味がより鮮明になった学習会でした。
 「市民科学者として生きる」岩波新書631「美味しんぼ」、「4年目の福島の真実」かもがわ出版、「被災者支援政策の欺瞞」岩波新書1505などの書籍は、都協会震災関連文庫に置いてあり、随時貸し出しも出来ますので、協会事務所にお立ち寄りの時に閲覧してみて下さい。また、今年も福島県MSW協会、宮城県MSW協会との研修・交流会も準備中です。ぜひご参加ください。

 

[2]他団体の活動のお知らせ

「第24回全国ボランティアフェスティバルふくしま」

日程:2015年11月21日(土)・22日(日)
メイン会場:ビッグパレットふくしま(福島県郡山市)
主催:第24回全国ボランティアフェスティバルふくしま実行委員会
   社会福祉法人福島県社会福祉協議会
   「広がれボランティアの輪」連絡会議
   社会福祉法人全国社会福祉協議会

参加費:3000円、事前申し込み制です。
※10月21日締め切りですが、延長される可能性がありますので、ホームページを御確認ください。

 

福島県のMSWの方より情報を頂きました。都協会震災支援対策委員会のメンバーも参加予定です。
当日の詳細なプログラムや、申し込み方法に関しては、ホームページ(下記アドレス)をご参照ください。
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp/vffukushima/index.html

平成27年度 東京都在宅療養推進区市町村支援事業
「医学的ケアを要する在宅療養患者の災害時支援事業」研修会
「みて、さわって、感じる」~地域で災害に備え、互いに支え合おう~

日程:2015年11月21日(土)10:00~15:00
会場:西早稲田地域交流館(新宿区西早稲田1-22-2)
問合せ先:在宅療養推進区市町村支援事業局
(慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室内)
TEL:03-5363-3833

 東京都在宅療養推進区市町支援事業「医学的ケアを要する在宅療養者の災害時支援事業」は医学的ケアを要する在宅療養者の方々に災害時に適切な支援体制が確保されるよう、組織作り、研修・啓発活動を行うことで、大都市圏における大規模災害に備えることを目的に、平成25 年度にスタートしました。当協会の理事もコアメンバーで関わっております。
 今回のイベントは、災害時に特別な配慮が必要な災害時要援護者にも目を向けながら、地域の防災力を高め、災害発生時には皆で力を合わせて困難に立ち向かっていくためのきっかけを作ることを願い、企画されています。
 防災・減災対策体験コーナー、災害時備蓄コーナー、災害食体験コーナー、避難所生活体験コーナー、生活不活発病予防体験コーナー、情報交換コーナーなど、「みて、さわって、感じ」ながら、災害への備えと災害時の対応について考え、学んでいくためのさまざまな企画が用意されています。

 

[3]別冊「つたえる」第2号原稿募集のお知らせ

 以前にもお伝えしましたが、今年度発行を目指し、2013年4月~2015年3月までの活動をまとめた別冊「つたえる 東日本大震災支援 活動報告」第2号の作成に取りかかっています。
 引き続き、会員の皆様からの原稿を募集しております。
 内容に関して、実際に活動に参加した際の感想や、震災に関する様々な思い、また、特に都協会の活動以外の内容でも結構です。
 原稿を執筆して頂ける方は、都協会事務局、もしくは牧田総合病院 加藤やその他理事にお声をかけて頂ければ幸いです。

「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての意見や想い、伝えたいことなど、是非お寄せして頂ければ幸いです。字数など、特に細かい制限はございません。
掲載希望の方は、都協会事務局にご連絡の程、よろしくお願い致します。

過去のバックナンバーは当協会のホームページにて閲覧可能です。
http://www.tokyo-msw.com/top_links/shinsai/tsutaeru/saigai_news.htm

発行 一般社団法人 東京都医療社会事業協会 震災支援対策委員会
〒170-0005 
東京都豊島区南大塚3-43-11 福祉財団ビル5F
電話・FAX : 03-5944-8912
Mail: ttn82yj27c@mx10.ttcn.ne.jp

福島県南相馬市「雲雀ヶ原祭場地」にて(20155月撮影)
毎年7月に開催される伝統行事「相馬野馬追」の会場となります。