震災支援タイトル

一般社団法人 東京都医療社会事業協会  No.42  2016.10.17

災害支援ニュース
つたえる
心をつたえる…様子をつたえる…事実をつたえる…手立てをつたえる…気持ちを伝える

 

[1]熊本地震支援について

(1)現地応援員派遣報告
 5月下旬、熊本地震への県外支援に関して、日本医療社会福祉協会を通じて、全国のMSW協会に要請されました。当協会も要請に応じ、7月1日以降、5名の支援員派遣を行いました。  今回の「つたえる」では、参加者の中からお二人の活動報告を掲載致します。現地の状況や、実際に現地にて活動された二人の想いを感じ取って頂き、そして今後、参加を考えている方達にとって参考となって頂ければ幸いです。

現地支援派遣の経緯


[日本医療社会福祉協会の動き](日本医療社会福祉協会のホームページを基に作成)
4/16  日本医療社会福祉協会にて災害対策本部設置
4/17~ 現地派遣
4/27  賛育会病院MSWより、益城町における支援継続の依頼
5/1   早坂会長とYMCAとの協議にて、益城町総合体育館への支援決定
日本医療社会福祉協会災害支援チームより MSWを派遣(5月末まで)
5月中旬  全国の医療ソーシャルワーカー協会に協力要請

6月~   九州のソーシャルワーカーを中心に支援継続

7/1~7/31 東京都医療社会事業協会より支援派遣

 私自身は7月1日~3日にかけて参加させて頂きました。6月に活動された日本医療社会福祉協会の災害対策本部の方々や、神奈川県医療ソーシャルワーカー協会の水野会長と福島赤十字病院のMSWの菅野さんには多くの事前情報を頂き、現地への出発に備えました。
 私が参加して得た情報に関しては、出来る限り次に参加する4名の方々にお伝えしてきましたが、現地で使用するマニュアルも毎日のように改訂されている状況で、日々現場では様々な変化が生じています。限られた中での事前準備でした。
 現地で共に活動した熊本県のMSWをはじめ九州のMSWの方々、日本医療社会福祉協会、YWCAをはじめ現地の支援者の方々には大変お世話になりました。深く感謝致します。
 10月末にて、益城町の総合体育館の避難所は閉鎖となります。今後の支援の方針に関しては日本医療社会福祉協会や熊本県MSW協会と情報共有しながら検討してゆきます。協会として支援に関わり続けてゆきます。
災害支援対策委員会 加藤 淳(牧田総合病院)

1日の活動スケジュール
以下業務の流れに沿って他のMSWと対応。

8:20
活動場所である益城町総合体育館に集合。到着し次第、食中毒予防の館内放送読み上げ。
8:30
MSW申し送り事項の確認。①MSW申し送りノート(未来ノート)にて引き継ぎ事項確認。②夜間の保健室日報より情報収集③益城町役場の方へ了解を得て入居者名簿の印刷(保健師用1部、MSW用1部)
8:45
保健師への申し送り
夜間の健康管理を担当する看護師と勤務時間が重ならないため、MSWを介して夜間の保健室日報を手渡し、看護師より引き継ぎを受けた内容を確認する。
介入が必要なケースのラウンド時間調整。
9:00
ラジオ体操、清掃活動への参加・協力促し
終わり次第、個別ケース介入、体育館内ラウンド。
10:30
総合運動公園調整会議(通称マシコム)
参加者:YMCA(管理者)、熊本県職員、ミナテラス担当、保健師
生活総合相談窓口(熊本県社会福祉士会)、MSW
会議資料を事前に作成し、進行表をもとにMSWが司会進行を行う。
仮設入居決定・予定情報報告シートを使用し情報共有。
11:00
ラウンド、個別対応
12:00〜13:00
昼休憩
13:30
生活総合相談窓口と情報共有。生活総合窓口担当の方は1 日交代のため、昨日の議事録を2部印刷し、1部渡す。
議事録作成を交互に行う。
15:30
保健師からの申し送り。保健師の健康相談ブースにて申し送り有無確認。
15:40
保健師、生活総合相談窓口より、入居者の個人情報(情報一覧シート、入居者名簿)回収。シュレッダー処理。
情報一覧シートの更新。申し送り事項は未来ノートに記載。
仮設入居決定・予定報告シートを入力。
日報、翌日のマシコム会議資料作成。ファイリング。
関連データのバックアップ。
17:00
全体ミーティング
YMCA司会進行。各部門からの報告。MSWと看護師は個別支援の対応状況共有。
ミーティング終わり次第食中毒予防の館内放送。
17:15
看護師への申し送り。入居者の個人情報引き継ぎ。同行訪問必要なケースは介入。
18:00
日本協会へ一日の状況確認。

柏 ゆう作成

①柏 ゆう(国立病院機構東京医療センター)
熊本地震現地応援員派遣レポート
活動期間:7月21日~23日

〈はじめに〉
 MSW経験が少ない中での参加となり、お役に立てるのか不安がありましたが、事前に情報提供頂いた東京協会の方、同時期に活動させて頂いた各都道府県協会の方、熊本県協会の方にご助言頂きながら無事活動することが出来ました。

〈活動期間の現地状況〉
 当方が参加させて頂いた時期は地震発生から100日目の節目を迎えるところであり、仮設住宅は二時募集まで結果が出ており、完成や鍵の受け渡しを待っている方がいる反面、まだ行き場が決まらない方も多くいる状況でした。
 活動拠点となった益城町総合体育館は町内に14ある避難所が今後閉鎖される方針の中、行き先の決まらない被災者の方を受け入れ、最後まで集約される場所であるため、活動として期待されることは仮設住宅への移動状況確認や支援有無の把握でしたが、実際は3ヶ月続く避難所生活の中で起こる周囲とのトラブル対応や体調の変化への対応等であっという間に時間が過ぎて行ったように感じます。

〈実際の活動にあたって〉
 運営元のYMCAさんはじめ、町役場の方、保健師さん、生活総合相談窓口の社会福祉士会の方、熊本県の方、夜間の看護師さんなど、様々な職種と連携し、情報共有を行いつつ、役割分担をしながら活動していました。
 特に保険師さん、生活総合相談窓口の方、看護師さんは入れ替わりが多くあるので、情報を次の活動者に円滑につないでいく為の記録作成など、事務処理業務も多くある中で、気になった避難者の方には同行訪問したりと、密に連携をとり迅速に活動出来たかと思います。
 MSW間の情報共有には未来ノート、個別支援ファイル、情報一覧シートなど、様々なツールがあり、慣れるまではどこにどの情報があるのか分からず、活用が難しかったように思います。

〈活動を終えて良かった点と反省〉
 被災者の方は住む家を無くし、先の見えない不安でただでさえストレスを抱えているところを長引く避難所生活で疲れも限界まで溜まっていらっしゃいました。ラウンドの中で吸い上げきれない課題も多々あったと思いますが、出会った方のこれからの生活が少しでも前に進むよう関われたのであれば幸いと思っています。
 避難者の生活を支える職員の方々に対しても外部支援者としてサポート出来ることがあればより良かったと反省しておりますが、この気持ちを忘れず、今後も業務の中で専門性を高め、緊急時に社会の役にたてるよう精進して参りたいと思いました。

 

②森岡 江美(国際医療福祉大学三田病院) 
被災地における支援体制の構築について
活動期間:7月27日~30日

1.現状
 2016年7月末時点で益城町総合体育館には約800人の被災者が居住しており、被災者の住居は全壊、半壊、一部損壊と様々な状況にあった。避難生活が長期化し、仮設住宅へ引っ越す被災者が増加する中で、先の見えない生活に対する不安感を感じている被災者が数多くいた。
 益城町総合体育館での生活相談は専門家によってなされている。専門家とは、MSW(熊本県MSW協会及び日本MSW協会からの派遣)、総合生活支援(熊本県日本社会福祉士会等の協賛による)、保健師(2016年8月中旬にて派遣終了予定)及び看護師(2016年7月31日にて派遣終了)である。各専門家たちは「情報シート」と呼ばれる支援者及び支援内容が記載されているシートを利用し継続的な支援を実施していた。

2.課題
 上記のように、益城町総合体育館における生活相談は熊本県内外問わず多くの機関により行われていた。情報シートを活用して情報共有がなされていたのだが、同じ被災者に異なる機関が支援を行う、継続介入必要な支援者の情報がない、等の問題が次第に散見されるようになっていた。
 理由としては、①すべての要支援者の情報がA3の紙にぎっしり記入されており見づらい、②利用できるパソコンが1台しかなく記入できる時間が限られている、③委託され相談業務を行っているため決定権がない、④長期的に相談業務を行わない、⑤個別ケース記録が存在せず要支援者を追いにくい、⑥いつまで派遣されるかわからず誰と情報共有してよいのかわからない、ことがあげられる。つまり、さまざまな相談機関が各々の専門性によって要支援者に関わることにより支援の責任転嫁及び責任の所在が不明確になっていたことが問題としてあげられる。

3.提案
 災害ソーシャルワークにとって重要な視点は、被災した地域における自律のためにどのように仕組み作りを行うか、である。被災者の安全が確保されてからソーシャルワークはその専門性を最大限に発揮できるのであり、フェーズを意識したソーシャルワークの介入は必須である。この点で、避難所が縮小されている現在では今まで培ってきた避難所における支援体制及び情報をどのように地域に有効活用していくかが課題となる。
 地域における支援体制の中核となりうる機関として社会福祉協議会のソーシャルワーカーがあげられると考える。災害時に社会福祉協議会が注目される理由はおそらくボランティアコーディネーターとしての役割であろうが、平時から災害時の支援のあり方や地域福祉の専門性にたけている、社会副協議会の活動力が必要となるのではないだろうか。
 先に述べたように社会福祉協議会は地域に根ざした活動を日頃から実施しており、地域の情報を多く所持している。被災地以外の専門家の流入は危機的状況に基本的には限られるため、その後は被災地の人々が自分たちで支援体制を作り上げていかなければならない。
 そのため、社会福祉協議会のソーシャルワーカーにより、①情報シートを個別ケース記録へ書き換える、②避難所退所後の状況を調査する、③状況に応じて専門機関につなぐ、ことによって、被災した地域での自律した支援体制が構築されるとかんがえられる。また、市区町村の社会福祉協議会のみではなく都道府県単位の社会福祉協議会に関与してもらうことにより、広範囲の支援の可能性を検討することができるのである。
 被災者は被災した「人」であり長期的な支援を行うためには、情報の共有、連携そして協働が必要である。

(2)災害研修「熊本地震支援報告会」を行いました

 9月27日(火)、災害研修「熊本地震支援報告会」を実施しました。当日は想定よりも多 い30名近くの方々が参加して頂き、会場も当初の中会議室から大会議室に急遽変更しまし た。当日の詳細と参加者の感想に関しては、次回のつたえるにて報告致します。

(3)熊本地震 支援金のお願い
 熊本県協会への支援や、当協会より現地に派遣する費用の一部に使用する目的として、支援金を皆様より受け付けております。

御協力頂ける方は、下記の郵貯銀行口座に送金をお願い致します。


 ★支援金受付の振替口座(ゆうちょ銀行)
 口座名義:一般社団法人 東京都医療社会事業協会
 口座番号:00130-5-577525

振込用紙の記入欄に「平成28年熊本地震」と記入して下さい。

 

[2]東京都要望を行いました

 去る9月6日、東京都庁にて、東京都に対する直接要望を行いました。今回、災害支援対策委員会としても、以下の内容で要望を提出しています。

(1)災害時対応や支援についての研修
①東京都の災害時対応施策や、医療・福祉関係各機関の対応についての基礎知識に関する研修 (災害対策基本法、災害救助法、激甚災害財政援助等に関する法律などを学ぶ)
②地域包括ケアシステム事業における災害時対応時の研修  

 災害時の要配慮者への対応・支援を行うに際し、平常時より各関係職種・関係機関は備えを強固にしてゆく必要があります。そのためには上記のような研修が必要です。

(2)広域避難者の総合的支援の継続
①都独自の住宅費助成の策定
②広域避難者への経済支援(医療費、一時就労支援など)
③広域避難者への相談・心理支援の体制整備・充実

 当協会の会員が避難者との交流会等に参加したときの避難者の声や、県で実施した避難者に対する調査内容から、避難者が抱えている不安の中に、「住まい(住居)」の問題が浮き彫りになっています。
 原発事故の避難指示区域指定解除・区域外避難者の住宅支援が2017年3月末にて打ち切りとなるにあたり、限られた期間では、就業の問題、子育ての問題、高齢者の問題、コミュニティの問題と多岐にわたる総合的支援を必要とするため全ての人が次の住まいを探し、決まることは困難です。
 故に、帰還という選択だけではなく、現在の場所に住み続けることや、新しい場所に移住することなどの選択肢を持つことも必要とされます。
 東京都には現在も、6000人以上の方々が避難されています。避難者の一人一人の状況に応じて、安心した暮らしができるよう、都が積極的に前例を造ってゆかなければなりません。

 上記の要望を、8月に当協会の会長・副会長を含む三役が都に提出。そして9月6日にヒアリングのため、都庁内の各政党を訪問しました。
 東京都の医療ソーシャルワーカーの団体として、都に対して伝えるべきことを伝えさせて頂きました。都から後日、審議した結果について回答を頂く予定です。

 「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての意見や想い、伝えたいことなど、是非お寄せして頂ければ幸いです。字数など、特に細かい制限はございません。
 掲載希望の方は、都協会事務局にご連絡の程、よろしくお願い致します。
過去のバックナンバーは当協会のホームページにて閲覧可能です。
http://www.tokyo-msw.com/top_links/shinsai/tsutaeru/saigai_news.htm

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