震災支援タイトル

一般社団法人 東京都医療社会事業協会  No.43  2016.11.17

災害支援ニュース
つたえる
心をつたえる…様子をつたえる…事実をつたえる…手立てをつたえる…気持ちを伝える

 台風10号による岩手県を中心とした甚大な被害など、全国各地において多くの災害が発生しています。そして、10月21日には鳥取を中心に大きな地震が発生しました。被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。そしてお亡くなりになられた方々に慎んでお悔やみ申し上げます。
 被災された方々一人一人の生活再建や健康問題に関する支援・施策に関して、災害救助法などの現行法ではまだまだ不十分な状況です。
 そのような現状の中、私達東京都の医療ソーシャルワーカーの職能団体として今後も出来ることを引き続き検討し、実行してゆかければなりません。

[1]災害研修「熊本地震支援報告会」

 9月27日(火)に、災害研修「熊本地震支援報告会」を福祉財団ビル大会議室にて開催しました。当協会から派遣した4人のMSWにより、参加の動機や現地の状況・活動内容、様々な想いを語って頂き、会場からの質疑応答も活発に行われました。

当日の内容

(1)熊本県派遣支援の概要
加藤 淳(災害支援対策委員会委員長 牧田総合病院)

(2)参加メンバーによる報告とパネルディスカション
柏 ゆう さん(東京医療センター)
佐々木愛子 さん(春山外科病院)
中辻康博 さん(豊島区医師会)
森岡江美 さん(国際医療福祉大学三田病院)

(3)質疑応答

司会進行:中村亜紀(赤羽中央総合病院)

 

<報告会感想> 余震以外の不安は何もない!
武山ゆかり(豊島区医師会)

職場の同僚も参加した「熊本地震」支援の報告会が開かれた。
夜9時からの遅い開始であったが,会議室を「中」から「大」に変えるほどの盛況だった。
7月に当協会から派遣したMSWは5人。順に参加の動機を語られた。
 東日本大震災や中越地震の支援経験のある方もいたが、どなたも意欲に燃えて取り組んで来られた。いずれも数日の夏季休暇や有給休暇を取られて、職場の協力を得て参加されている。朝から夜遅くまで、避難所である「益城町総合体育館」の中で、入所者の面談、他職種への引継ぎ、館内巡回に追われる毎日を繰返して来られた。宿舎の行き帰りに見る街の様子は、想像を絶する大きな被害と、人手の不足から復旧の進まぬ様子が見て取れ、今後の生活支援の必要を予想させたとのこと、限りある数日の支援では当然不足する「その後」に思いをはせていた。生活状況の管理や細かい配慮が必要そうなのに、紙ポールとカーテンで仕切られた体育館スペースに入りたい方、逆に周りの方の見える武道場での居場所を望む方と、それぞれに思いを募らせる方に寄り添い、安心して心を開いて相談してもらえる環境をつくることに心を砕きつつ、行政や保健師、また今後の支援に戸惑っている現地の福祉職の方々のサポートとなる動きをするのは、神経も体力も使う毎日だったことが窺われる。しかし、皆さんの口からは「熊本言葉や土地のことを教わり楽しかった」「ソーシャルワーカーらしい仕事が出来た」「また今後の仮設住宅や避難所の後の住まいを訪ねたい」「被災者からも元気をもらえた」というメッセージ。「迷うならまず行ってみるべき」「現地での活動には必ず引継ぎや助言があるので心配ないこと」「普段の業務と同じ、聴き、寄り添い、繋ぐ仕事」であることが、報告者どなたからも話されました。
 どこまで、何をするか、MSWの支援とは?他職種とのスタンスは? こうした不安にも、既に過去の災害での支援で協会が詳しい記録『つたえる』『支援のバトンⅠ~Ⅲ』ほかが出版されているし、12月には『災害ソーシャルワーク研修』も開催が予定されています。
 東京での災害が有り得ることを胸に刻み、いざという時職場からメンバー1人を広域支援に出せる「チーム力」のある職場環境、人員配置をめざすことの重要性も出されました。
 明日かもしれない、経験したことのない災害かもしれない、夜間や休日、執務中かもしれない。どんな時にも、揺るがない心の備え、私たちの仕事の『軸』を災害についても用意したいと思います。「熊本に行ってみる」経験をしてみませんか?

 

[参加者の感想]

1.研修会の内容について

(回答理由)

・他の支援者の方の話を聞かせていただき、支援のバトンが継続されていること、活動時期の違いによる周囲の団体の状況など支援内容、感じることを改めて感じたが、自分が整理して話すことが出来なかった。

 

・震災の中でSWがどのように役に立つことができるか学べました。

 

・熊本に行かれた方がどなたもとてもしっかりとした活動をされ意見を持たれていることに感激しました。今後の活動に期待できそうです。

 

・皆さまの体験談を伺えて改めて熊本のこれからを考えることが出来ました。

 

・連携をするという難しさがわかりました。

 

・熊本地震の支援にいってこられた皆さんの話が聞けて良かった。

 

・参加した方の話をじかに聞くことができたので。

 

・被災地での活動内容は新鮮であり、今後へ備えなければならないことを職場でも共有する良いきっかけとなりました。

 

・実践者の生の声を聴くことで活動の様子がイメージできた。突然の災害に様々な支援機関が入るありがたさがあるものの、集約しまとめる「核」がなければ、支援の力がまとまらず繋がらない。そこを今回MSWが危機感を感じつなぎ役になっていたように感じた。

 

・報告者の方々が率直なご意見、ご提案をしてくださり状況をイメージすることができました。忙しい中こうした報告の場にもご協力いただき、報告者の方々には本当に感謝しております。企画の方々もお疲れさまでした。

 

・継続的な支援の必要性を感じました。
・実際の災害支援の様子をかなり具体的に理解することが出来ました。被災地現場支援は、日々の教務の重要性を再認識するとても貴重な機会なのかもしれないと感じました。

 

・熊本支援の生の声が聴けて良かったです。

 

・現地に行ったからこそわかる支援に必要な視点。また、問題点、課題がわかりとても勉強になりました。

 

・皆さんが現地支援に行くことを迷っているなら、行くべきとおっしゃっていたことが印象的、背中を押された。マイクを使った方が良かった。

 

・毎日の業務ではなかなか気づくことのできないSWの専門性について学ぶことができました。

 

・具体的な課題が理解できたので。

 

・支援活動をされた方の生の声を聴くことが出来た。
・あらかじめ準備できることが多くあることを知れた。

 


2.災害時に当協会に求めること

 

・平時より災害時のSWとして、自身の職場として、どのような動きをとりどのようなことができるのか、を考えておくこと、都協会として日本協会や他協会とどう連携していくか、常に考えておくよう心掛ける。

 

・チームの積極的な連携、情報共有。

 

・情報共有の為の準備をしてください。ICTの時代です。即繋がる方法があるのですから。

 

・地元がコーディネーターとなり、派遣されてきた方をできるだけ円滑に進むようにして頂きたいです。

 

・関係機関とのつなぎ役

 

・東京での震災時の対応について。

 

・多職種との支援報告会もできたら良い。

 

・東京で災害が起きたときに対応できる体制つくり。

 

・日本協会とのもっと密な連携を。もう少し派遣された方々へのフォロー、情報提供があっても良かったのかなと思いました。

 

・①MSWが支援対応で貢献出来ることを解りやすく1枚のシートにまとめる。
(被災者とうまく繋がる貢献目的+MSWの周知目的)
~災害の規模・急性期・慢性期等のクライエントのニーズはその都度異なるが、寄り添い話を聞く+α 専門職として出来ること(心理社会的支援、問題の明確化、コーディネート機能等…)を明確に示す。                                                     
~海外のSWの災害時の支援で参考になるような例があれば活用する。
②関係機関(自治体、公共機関、日本協会、社会福祉士会、ボランティア組織他)との緊急時支援体制構築目的での連携、組織化から、支援組織体制モデル(=指揮命令実行、各組織の役割分担など)、全国共通の仕組み、枠組みが構築出来たらよいと思いました。
③首都圏災害時 支援者受け入れ態勢構築
④支援に赴くMSWへの事前研修(紙面でも良いと思います)
~支援の成果を導き出すためにレクチャーを受け、支援の質を高める。
⑤MSWが交代しても継続して、クライエントを見失わないよう支援継続するシステム構築。
⑥クライエントを引き継ぐ際のプライバシーを守る(クライエントの意向確認徹底)環境つくり。
⑦避難所や、役所など被災者が利用する場に、MSWが貢献できる例などを記したポスターを張り、チラシを置き、例えばトリアージのような記を設ける、投書箱のような箱を設ける等、MSWの支援を希望する人がSOSの意思表示をしてもらえる仕組みを作る。MSWの存在を知ってもらうことにも貢献できるかと思う。
⑧グループソーシャルワーク、ピアカウンセリング等被災者が主体となれる支援のスキルを導入、活用できるMSWの研修、トレーニングの工夫。

 


3.災害支援対策委員会へのご意見ご要望

 

・出来る限り協力していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
研修の実施いつもありがとうございます。

 

・今回の講義を聞いて私も現地支援スタッフとしてボランディアをしてみたいと思いました。

 

・ご苦労様です。感謝しています。

 

・災害時にコーディネーターとして機能できるような人材育成の研修があれば是非参加させて頂きたいです。本日は貴重な機会をありがとうございました。

 

・MSWだけではなく、医療(他職種)と福祉が連携して関わっていけると良いなと思っています。

 

・とても良い会でした。ありがとうございました。

 

・いつもお世話になっています。

 

・派遣者の疑問が、報告会の最後の日本協会の方のコメントで解決するというのはどうなのでしょうかと感じました。

 

熊本地震 支援金のお願い
 熊本県協会への支援や、当協会より現地に派遣する費用の一部に使用する目的として、支援金を皆様より受け付けております。
 
御協力頂ける方は、下記の郵貯銀行口座に送金をお願い致します。


 ★支援金受付の振替口座(ゆうちょ銀行)
 口座名義:一般社団法人 東京都医療社会事業協会
 口座番号:00130-5-577525

振込用紙の記入欄に「平成28年熊本地震」と記入して下さい。

 

[] 『日本災害復興学会』in石巻(2016.9.3010.2
武山ゆかり(豊島区医師会)

 初秋の海も北上川も、穏やかで秋の空を写し青く輝いていました。
 7回目の開催になるこの学会は、震災のあった神戸、新潟長岡、福島、そして昨年の 東京(専修大学)と、開催され、今回宮城県石巻では初めての開催となりました。
 医療・教育・法律・情報・経営・災害科学・都市計画・地域社会システム・各種NPO活動など、様々な分野から、研究者や実践家が集まり、減災、防災、復興支援など経験や計画、課題について話し合われました。
 阪神淡路大震災、中越・中越沖地震、東日本大震災とそれぞれ発災後から、今日までの道のりや今も抱える問題点、出来なかった復興、戻れなかった故郷や、創造的な復興に繋がった地域の例など多彩な発表が数多く出されました。
 また、被災者の生活の場が、一時避難所、二次避難所、仮設住宅(みなし仮設)、復興支援住宅と変わる中で生じる様々な問題、コミュニティの崩壊と創造、高台移転と従前地の買い上げ、居住者の減少に伴う医療機関や公共機関の減失など、問題となることの解決策や新たな資源の導入など、ほんとうに様々な討議がされました。
 また、当時まだ子どもだった、学生で何もできなかった、という若者たちが、いまは会の開催スタッフとして、発表者として溌剌と活躍していること、また当時行われた調査を、今の最新技術や知見で、二次分析を行うことの意味や真義など、事実や科学や正義に向き合う真摯な議論もたたかわされ、胸が熱くなること度々でした。
 貴重なデータや、事例など、私自身も調査で出会った内容もあり、当時手探りで、でもやれる限りはたくさん働こうと関わった命と健康、生活の分野の支援の検証は、きちんとされなくてはと、各分野の研究に学ぶところ大でした。
 初期に、まず目の前の対応に職種を超えて一緒に動き回ったボランティアのメンバー、まだ、発災後ずっと緊張のままだった病院の職員、久々に顔を見、つい抱き合うほどの何人もの当時の仲間に、また逢えたことがほんとうに嬉しい機会でした。
 夜を徹して、地震後の悪路を迂回しながら、真っ暗な中を物資と寝袋を抱えたどり着いた被災地が、また支援車両の渋滞に数時間かけて通った石巻が、今は東京から、新設なった「仙台東北ライン」の開通で3時間かからずに、楽に行けたことにも驚き、うれしい旅でもありました。

 学会に先立ち、牡鹿半島や女川原発、復興住宅の見学など多彩な内容のエクスカーション、学会2日目最後の市民公開シンポジウムの若者たちの語り部「被災地から未来へ」等、別途たくさんの報告は、これからお届けしますが、中身の濃い「災害復興学会」でした。
 来年は9月末(予定)神戸「人と防災未来センター」を会場に開催の予定と決まりました。今年出されたMSWの研究報告を深めて、来年こそ質の高い、注目される内容でぜひに、と願っています。一緒に研究を進めて発表を検討して下さる方、一報をお待ちしています。多分野だから面白い、価値ある学会でした。

 

[3]「2016年復興・減災フォーラム」
加藤 淳(牧田総合病院)

 時間が経っての報告で恐縮ですが、今年の初めの1月10日、神戸の関西学院大学で開催された2016年復興・減災フォーラム『「復興知」を未来につなぐ~東日本大震災5年を迎えて~』に参加しました。きっかけは、私が信頼・尊敬する福島県のソーシャルワーカーの方々が演者として参加されるためです。
 2日間に渡って開催され、初日は全国被災地交流会「円卓会議」。「原発避難をきっかけに生まれた新たな支援活動について考える」がテーマです。
 福島県や兵庫県の関係者の方々や茨城県常総市の関係者の方々を含め、30名以上の方々が円卓で報告されました。
①「いるだけ支援」(福島大の学生の方々による仮設住宅でのボランティアなど)、
②「専門家支援」(ソーシャルワーカーや弁護士など)、
③「中間支援」(JCN※など、NPOなどの仲立ちをする支援)、
④「当事者支援」(当事者の方々による支援)
に構成が分かれ、5時間近くの話し合いとなりました。
 「最後の一人まで関わってゆく」という言葉が多くの報告者から発せられたことが強く印象に残っています。この言葉は、災害支援における重要なキーワードであることを、東日本大震災から5年以上経過し、そして熊本大地震を経過した今だからこそ、強く確信しています。
 阪神淡路大震災の支援者と東日本大震災の支援の方々が意見交換する貴重な場でした。そして、自ら被災者である支援者が、如何に悩み、如何に想いを抱きながら支援を継続しているかということを、目の当たりにしました。
 会場には多くの方々が聴講され、10代ぐらいの若い人たちの姿も多く見受けました。休憩時間中、近くに座っていた高校生の青年から「震災支援に関して、自分に何が出来るでょうか」と話しかけられました。その熱意と想いに胸が熱くなりました(ただ、その時私に適切な言葉が言えたかどうか…)。
 会議終了後、懇親会にも参加させて頂きました。福島県のソーシャルワーカーの方々をはじめ、多くの支援に関わる関係者の方々とお話しすることが出来、大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。
  ※JCN(東日本大震災支援全国ネットワーク):東日本大震災における被災者支援のために結成された、
    全国の災害支援関係のNPO・NGO等民間団体のネットワーク。


 「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての意見や想い、伝えたいことなど、是非お寄せして頂ければ幸いです。字数など、特に細かい制限はございません。
 掲載希望の方は、都協会事務局にご連絡の程、よろしくお願い致します。
過去のバックナンバーは当協会のホームページにて閲覧可能です。
http://www.tokyo-msw.com/top_links/shinsai/tsutaeru/saigai_news.htm

発行 一般社団法人 東京都医療社会事業協会 災害支援対策委員会
〒170-0005 
東京都豊島区南大塚3-43-11 福祉財団ビル5F
電話・FAX : 03-5944-8912
Mail: ttn82yj27c@mx10.ttcn.ne.jp