震災支援タイトル

一般社団法人 東京都医療社会事業協会  No.46   2017.5.29

災害支援ニュース
つたえる
心をつたえる…様子をつたえる…事実をつたえる…手立てをつたえる…気持ちを伝える

 熊本大地震発生から、先月で1年となります。
 被災された方々には心からお見舞い申し上げます。そして、亡くなられた方々の御冥福を深くお祈り申し上げます。
 東京都医療社会事業協会の災害支援対策委員会の委員長として、この1年間を振り返った際、私自身、行ってきたこと、そして出来なかったこと等、様々な複雑な想いが交錯します。
 熊本県をはじめとする現地のMSW、日本医療社会福祉協会をはじめとする他団体、現地でお世話になった方々、協力して頂いた会員の方々や理事、委員会のメンバーには、改めて深く感謝致します。
 6月の日本医療社会福祉協会の全国大会(北海道)において、2日に「災害支援シンポジウム」が開催されます。
 熊本県医療社会事業協会会長の土肥会長がシンポジストとして登壇されます。また、3日の分科会においても、熊本県のMSWの方による発表が行われます。
 当日参加することによって、今後のことを多くの方々と共に考えてゆければと望んでいます。

加藤 淳(牧田総合病院)

 ※熊本大地震関連の活動記録に関して、災害支援ニュース「つたえる」No.38~No.43に記しています。協会のホームページにて、閲覧可能です。


[1]大規模災害対策講演会を開催しました

 3月26日(日)東京芸術劇場シンフォニースペースにて、大規模災害対策講演会を開催しました。
 第1部は、東京都・神奈川県・千葉県・茨城県・静岡県の各MSW協会が集まっての意見交換会。第2部は弁護士の津久井 進先生を講師とお招きし、「一人ひとりを支える仕組み 新しい災害復興法を ~災害ケースマネジメントを提唱する~」というテーマで講演を行って頂きました。
 当日は前半・後半共に、フロアーの参加者も含め、活発な意見が交わされ大変充実した内容の一日となりました。
 詳細に関しては、近日発行の東京MSWニュースにて報告致します。併せて御一読して頂ければ幸いです。

 会員の皆様のお手元には既に届いていると思いますが、別冊「つたえる2」東日本大震災支援活動報告を3月末に発行致しました。
 当初の予定よりも発行が遅れてしまったことをお詫び申し上げます。
 2013年7月に発行した第1号から3年経過しましたが、その間も当協会は様々な活動を重ねてきました。その活動内容を記録として残してゆかなければならないという想いで、この「つたえる2」を作成しました。
 今後、第1号と同様、会員のみならず全国のMSW協会や各関係機関にも配布してゆきます。
 冊子を発行するにあたり、多くの方々の御協力を得ました。この場を借りて深く感謝致します。

災害への関心は、日常業務への誠意

~『つたえる2』と『医療ソーシャルワーカーの支援のバトンⅣ』を読んで~

豊島区医師会 武山ゆかり

 上記は、既刊を読まれご存知の方も多いが、東日本大震災5年を契機に、この間の活動をまとめている。ともすれば「まだ関わっているの?」とか「もう支援はいいんじゃないの?」などの声も聞こえてきたりもするが、被災地と継続して関わっていると、災害の爪痕は大きく深く、決して復興が成ったという状況には見えない。
 かえって、取り戻しようのない命や住まいや仕事を失ったことが、予想していなかった現実に立ち向かう気力さえ奪ったり、大きな生活の格差を生じせしめたりしている。加えて現実は、終息に向かわせたい国の決定は早くも、仮設住宅の閉鎖や家賃補助の終了などの経済面でも、近所づきあいの再々の分断などが、新たな不安として生じている。
 MSW協会は、東京都協会、日本協会ともに、震災の支援体制を継続する必要をとらえ、2冊の冊子の発行により、ひろく訴えていると言える。
 災害は、それがなかった土地の10年後の問題を先取りして抱え、見せてくれると言う。
 阪神淡路大震災後の神戸が、まさにそうであった。高層の復興支援住宅での孤立死や、元に戻れなかった住民を失い、製造業や商売は衰退し、掛け違った復興事業費は、地域の負債を産んだ。その昔栄えた個性あるかつての港町は、今、大阪のベッドタウン化している。
 漁業、農業の問題を抱えながらも、長くそこに住み続ける人々が飢えることなく暮らしを支えられてきた東日本の被災地は、失業者や引きこもりを経た若者が、再び就労するにも困難な状況を抱えている。かつて栄えた海沿いの地域は、新しく造成された高台地域や、ショッピングモールを取り巻く新興住宅地に住民が移り、経済地図も生活関連施設の分布も変わり、生活スタイルも行政ニーズも変わった。取り残された人々は、交通手段や経済活動からも取り残され、老いを早め、通院しにくい環境など健康破壊も懸念が続いている。
  もちろん、一括りには出来ない個々の問題ではあるが、底に流れる問題が引き起こす生活困難、経済困難など、コミュニティーの分断が地域の支え手を減らし、サポートの必要を明らかにしている。それは、まさしく10年後、20年後の都市に現れるであろう多くの要配慮者の必要とする福祉ニーズを予測させる支援内容なのかも知れない。そう考えながら、この今、石巻での、福島や各地の避難先での被災者支援の報告を読むと、北海道大会での都協会のポスター報告の題ではないが「他人事から自分事へ」(ひとごとからわがことへ)と、視点も変わってくると思う。
 石巻市の委託を受け、高知や大阪から、初めての地で、新たな連携や仕事を展開するMSWの試行錯誤の日々や行政の信頼をより強く、深いものにしていく過程は、大きな学びを読む人に与える。それは石巻駅前に再建され新装なった市立病院に「地域医療連携室」が置かれ、当時現地で働いた私とともに福祉避難所や仮設住宅で被災者の相談にあたった看護師らが配属され、開院直前まで日本協会現地職員として働いていたMSWが、今度は市民全体に責任を持つ病院MSWとして採用・配置されたことにも評価されている。
 「いつまで、石巻の支援をするのか?」と聞かれた時、以前の私の答えは、市立病院が出来て、複数のMSWが、被災者の問題も、新しい市民の問題も、自信と責任を持って対応できる体制が出来る時」であった。今は、病院MSWに加え、開成団地仮設診療所隣に、「地域包括ケアセンター」が出来、住み慣れた地で生き続けることの出来る支援を叶えようと、そこにも複数のSWが配置され、市立病院MSWと連携し住民の支援をしている。  震災前にはなかった住民の医療福祉が、被災者支援で全国から駆け付けたMSWや、現地職員として力を尽くしたMSWの力で、石巻市に根付いたことを『バトンⅠ~Ⅳ』を読んで知り、ぜひ実感してほしい。巻末の全国の協力MSWの中に、都協会会員の名前も見つけて欲しい。
 都協会「震災支援対策委員会」委員長の加藤淳さんも、まだガレキの残る被災後最初の厳しい冬に、石巻の支援に滞在し人生の方向が変わったという1人だ。前号『つたえる1』以降の貴重な研修講演記録や、毎年の宮城県協会、福島県協会との交流会・フィールドワーク、福島県から都内に来ている避難者の支援など、企画や事業の中心となって都協会の支援活動を引っ張ってきた。『つたえる2』は、昨年の3月までの記録のため、4月に起きた熊本地震の現地報告は載っていないが、都協会会員に熊本支援を呼びかけながら、また支援報告会を開催しながら、この冊子の編集に、巻末の対策支援委員と共に尽力された。
 当初、被災者支援法等、地味な研修会への参加者は数えるほどであったが、回を重ねるにつれ、多くの参加者が足を踏み出すようになったのは、協会ホームページに毎月更新して掲載する『つたえる』通信や、会員が各種参加可能な事業の企画、他団体の情報が会員の後押しをして、支援への参加に足を踏み出すきっかけを作ってきたからかと思われる。
 講演会や研修への参加が難しかった方は、講演記録をじっくり読んでいただきたい。災害支援だけでなく、日常の業務に反映されるMSWの仕事の真髄とも言える問題に深く触れる内容が多く、教育部の事業としても良いくらいの内容であった研修も少なくない。層の厚い都協会の活動を、ぜひホームページも併せて読み進んでほしい。
 また、こんな事業もしているという誇りを持って、この冊子を周りの方に読んでもらいMSWへの理解を進めるために利用してほしい。所属機関の長や関係機関などに、見ていただく機会を積極的に作り、私たちの存在をアピールするツールにもなると思う。それは、もしかしたら明日おこる災害に立ち向かう、あなたの頼もしい協力者になってくれる人かも知れないから。                       (2017.5.25)
 

[3]第37回日本医療社会事業学会にて活動報告を行います

  6月3日(土)北海道「札幌プリンスホテル国際館パミール」にて開催される第37回日本医療社会事業学会において、災害支援対策委員会として発表を行います。
 演題名は「災害支援活動の継続から会員の活動に与えた拡がり ~他人事から自分事に~」。ポスターセッションによる発表です。
 当委員会として発表するのは今年で6回目となります。全国大会に参加される方々は是非お立ち寄りください。

 「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての経験、意見や想い、伝えたいことなど、是非お寄せ頂ければ幸いです。字数など、特に細かい制限はございません。
 ご寄稿下さる方は、都協会事務局にご連絡の程、よろしくお願い致します。
 過去のバックナンバーは当協会のホームページにて閲覧可能です。

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